加工条件の教育方法 -なぜ加工条件は遅くなっていくのか-
ふと気づいた。リピート品の加工条件が遅い。
今まで5分で加工できていたものが、8分ほどかかって加工時間が伸びている。
然るべき理由があって加工条件が遅くなっているのであれば仕方がないが、根拠なく条件がおとされているのがほとんどである。
加工条件を遅くする根拠なき3選
1. 刃物が折れたので遅くした
2. 寸法がでなかった
3. 早すぎると思った
いずれも本質的ではない。
1. 刃物が折れたので遅くした
加工条件があまりにも早すぎて折れるであれば以前はどのように加工していたのかと思わなかっただろうか。とにかく刃物が折れると根拠なく遅くしてしまう担当者は多い。少し遅くすれば折れなくなるわけではない。条件があっていないから折れるのである。それとも他に理由がないかしっかりと考えるべきである。クーラントはしっかりかかっているか。治具はいたんでいないか。クランプはしっかりできているか。切りくずは上手く掃けているか。など、加工条件以外にもたくさんあるはずだ。
2. 寸法がでなかった
これもまったく根拠がない。なぜ寸法が外れたのかじっくり考える必要がある。補正以外にも、1.で述べたようなクーラント、クランプ、治具の精度。他にも今までと変化点がないか調べるべきである。
3. 早すぎると思った
これはヤバすぎる。完全に個人の主観である。加工条件を普段からなんとなくこれぐらいでと決めつけている担当者に多い。マシニングであればキリの良いF100とか200。旋盤だとf0.05とか0.1。理由はなく今までこれでできていたので問題がないと思っている。
加工条件の教育はされない
加工条件の決め方について教育されているところはほとんどない。なかなか、コレ!と決めることができない理由がある。
1. 製品によって条件は異なる
製品によっては剛性があるもの、ないものがある。剛性があれば加工条件をあげられるがないものはビビったりするのであげられないことがある。一概にこの条件で加工すれば間違いないというものはないのである。
2. 万能な計算式はない
加工条件にこの時にはこの計算式でというものはない。あるとしても、周速は○○、一刃あたりの送りは△△である。これですべてが加工できれば良いのだが先ほど述べた製品によって異なるし、精度・粗さなどによっては変更しなくてはならない。万能な計算式は存在しない。
加工条件の教育
推奨条件を刃物ごとで決めるとよい。カタログの条件をベースにしても良いし、量産で攻めた条件にしてもよい。工具置き場の棚の見えるところに条件を張っておけばそれがベースになっていく。担当者はそれを初期条件とすれば経験値となってこれでも加工ができるのだとなっていく。